• ホーム
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届とは?添付書類や書き方をわかりやすく解説

健康保険・厚生年金保険新規適用届とは?添付書類や書き方をわかりやすく解説

アイキャッチ画像
目次

新たに法人を設立した場合や、個人事業所で従業員が5名以上になった場合、事業主は「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を作成し、管轄の年金事務所に届け出なければなりません。

しかし、普段あまり発生しない手続きであるため、「健康保険・厚生年金保険新規適用届が何かよくわからない」、「手続きは何をどうしたらいいかわからない」という担当者の方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」について、その書き方のポイントや、手続きの流れ、添付書類など、わかりやすく解説をしたいと思います。

「最新の法改正」や「人事トレンド」など、人事・労務担当者必見の資料を無料で配布中!こちらからダウンロードできます

健康保険・厚生年金保険新規適用届とは?


法人や一定の個人事業主等が、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に初めて加入することを「新規適用」といい、このとき必要となる書類が「健康保険・厚生年金保険新規適用届」です。

社会保険に加入し、その適用を受ける事業所のことを「適用事業所」といいますが、適用事業所には、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」という大きく2つがあります。

強制適用事業所とは

強制適用事業所とは、法律によって社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入が義務付けられている事業所のことをいい、従業員や事業主の意思にかかわらず、加入しなければなりません。

強制適用事業所にあたる場合は、従業員がいない場合(代表者・事業主のみの場合)でも、手続きが必要です。

強制適用事業所となるのは、次の3つです。

  • 国、地方公共団体
  • 法人
  • 常時5人以上が使用されていて、かつ一定の事業を営んでいる個人の事業所

一定の事業とは法律で定められた16種類の業種(法定16業種)のことをいい、農林水産業などの第一次産業、飲食・接客業などのサービス業、宗教業の3つの事業以外が広く含まれます。

ちなみに以前は、士業(弁護士、公認会計士、税理士、行政書士、弁理士、社会保険労務士など)も、サービス業などと同様、法定16業種に属さないとされていました。

しかし、2022年10月以降は法改正により、常時5人以上の従業員を雇用している事業所については、社会保険の強制適用事業所となります。

任意適用事業所とは

任意適用事業所とは、強制適用事業所以外の事業所で、厚生労働大臣の認可を受けて社会保険の適用事業所になった事業所のことをいいます。

強制適用事業所にあたらない場合は、被保険者となるべき労働者の2分の1以上が、社会保険の適用事業所になることに同意し、厚生労働大臣の認可があれば、社会保険の適用事業所になることができます。

なお、被保険者となるべき労働者の2分の1以上が、任意適用事業所になることを希望した場合であっても、任意適用事業所になるかどうかは事業主の任意であるため、事業主に申請をする義務はありません。

健康保険・厚生年金保険新規適用届の手続き

新しく法人を設立した場合や、個人事業で5人以上の従業員を雇用するようになった場合、「健康保険・厚生年期保険新規適用届」の手続きが必要です。

下記では、手続きの流れや、提出先、提出期限、必要な添付書類などについて解説をします。

手続きの流れ

健康保険・厚生年金保険新規適用届の流れは下記の通りです。

  1. まず事業所が健康保険・厚生年期保険新規適用届を作成し、管轄の年金事務所に提出をします
  2. 年金事務所から協会けんぽにデータが送られます
      ※健康保険組合に加入する場合は、年金事務所の受領印のある
       新規適用届を事業主から健保組合に提出します
  3. 協会けんぽ、または健康保険組合から被保険者証が事業主に交付されます
  4. 事業主は被保険者証を従業員に渡します

手続き方法

必要書類健康保険・厚生年金保険 新規適用届
目的社会保険に加入する
提出先事務所を管轄する年金事業所
(組合保険の場合は健康保険組合にも提出)
提出期限事由発生から5日以内
添付書類①法人事業所の場合は登記簿膳本
②個人事業所の場合は事業主世帯全員の住民票の写し
③個人事業所の場合は代表者の租税公課の領収書のコピー(原則1年分)
④保険料を口座振替で納付する場合は保険料口座振替申出書
⑤従業員が社会保険に加入する場合は被保険者資格取得届

強制適用事業所では、従業員がいない場合(代表者・事業主のみの場合)でも、手続きが必要です。

その場合、社会保険に加入する従業員はいないため、⑤の添付書類は不要となります。

法人事業所と個人事業所とでは、添付書類が異なるので注意しましょう。

遡って加入することも可能

社会保険が適用される年月日(加入年月日)は、原則として、事業所が健康保険・厚生年金保険新規適用届を提出した日となります。

ただ、それ以前から適用要件を満たしていたことの確認ができる場合は、提出月の初日または、加入要件を満たした日まで遡って加入することが可能です。

遡って社会保険に加入する場合は、新規適用届を提出する際に、その事実発生年月日を証明するための書類(賃金台帳や出勤簿など)を提出する必要があります。

社会保険の加入基準を押さえておきましょう


健康保険・厚生年金保険新規適用届を提出する際、被保険者となる従業員がいる場合は、同時に社会保険の被保険者資格取得届を提出しなければなりません。

そのため担当者としては、自社の従業員が社会保険の被保険者にあたるのかどうか、加入基準を押さえておく必要があります。

社会保険の加入基準となるのは、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働時間が通常の正社員の4分の3以上かどうかです。(これを「4分の3基準」といいます。)

4分の3基準を満たさないパートやアルバイト従業員は、原則として社会保険に加入することはできません。

ただ、4分の3基準を満たさない従業員であっても、次の5つの要件をすべて満たす場合は、例外的に社会保険に加入することになります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 月額賃金が88,000円以上であること
  • 2か月以上の継続勤務が見込まれること
  • 学生でないこと
  • 被保険者100名を超える事業所で勤務していること

同時に行う手続き

健康保険・厚生年金保険新規適用届を提出する場合は、次の3つの書類も併せて提出すると効率的です。

  • 労働保険 保険関係成立届
  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 労働保険概算保険料申告書

「労働保険 保険関係成立届」は、事業の開始後、労働者を雇用した際に提出が必要となる書類です。

正社員だけでなく、パート・アルバイトなど、名称を問わず労働者を1人でも雇用した場合、提出しなければなりません。

「雇用保険適用事業所設置届」は、事業所が雇用保険の被保険者を雇用した際に必要となる書類です。

「労働保険概算保険料申告書」は、事業所が労働者を雇用した際に、その労働者に対する賃金見込み額に対する労働保険料を支払うための書類です。

なお、2020年1月以降は、企業の事務負担軽減のため、「労働保険保険関係成立届」「雇用保険適用事業所設置届」「健康保険・厚生年金保険新規適用届」の3つをまとめた「統一様式」が設けられており、1度にまとめて手続きをすることが可能です。


従業員の労務管理は社労士に業務委託するべき?|SATO社会保険労務士法人

適切に労務管理を実施することは、従業員の離職率を下げ、また従業員のモチベーションの向上や生産性の向上につながります。従業員の労務管理を社労士に業務委託すべきかどうか、そのメリットなどについて解説をしていきます。

sato-magazine.com

og_img


まとめ

健康保険・厚生年金保険新規適用届とは、事業所が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所として、社会保険に加入する際に提出が必要となる書類のことをいいます。

対象となる事業所は、5日以内に、管轄の年金事務所に提出をしなければなりません。

手続きに必要となる添付書類については、事業所が法人か個人事業所かによって異なるので、間違えないようにしましょう。

また、従業員が社会保険の被保険者になる場合には、被保険者資格取得届も併せて提出する必要があります。

忘れないよう注意しましょう。

健康保険・厚生年金保険新規適用届について、「もう少し詳しく聞きたい」「社労士に直接相談したい」という方は、ぜひSATO社労士法人まで、お気軽にお問合せください。

経験豊富な社労士がわかりやすく丁寧に対応・解説させて頂きます。


お気軽にお問い合わせください。