労働保険名称所在地等変更届とは?添付書類や書き方の注意点を解説
事業所の名前が変わったり、移転する場合には、労働保険名称所在地等変更届が必要です。
この手続きをしておかないと、労基署やハローワークから必要書類が届かないなど、トラブルになる可能性があるので、忘れずに手続きをするようにしましょう。
ただ、この手続きはそれほど発生するものではないので、詳しい方は少ないと思います。
そこで今回は、労働保険名称所在地等変更届について、経営者や担当者の方に向けてわかりやすく解説をします。
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労働保険名称所在地等変更届とは
労働保険名称所在地等変更届とは、労働保険が成立している事業所が社名を変えたり、住所を移転した場合に届出が必要となる書類のことをいいます。
「労働保険が成立している事業所」とは、簡単にいうと「従業員を雇用している事業所」のことをいいます。
ですから、パートやアルバイトなど名称を問わず、従業員を1人でも雇用している会社が、その社名や所在地を変更する場合、この書類の提出が必要になります。
労働保険名称所在地等変更届の提出先となるのは、事業所を管轄する労働基準監督署またはハローワークです。
社名や所在地が変わった場合のほか、事業の種類や有期事業の期間に変更があった場合にもこの届出が必要です。
労働保険名称所在地等変更届の手続き方法
労働保険名称所在地等変更届の手続き内容は次の通りです。
必要書類 | 労働保険名称、所在地等変更届 |
目的 | 労働保険が成立している事業所の名称や 所在地等の変更の届出 |
提出先 | 一元適用事業の場合は事業場を管轄する労働基準監督署 二元適用事業の場合は労災法顕は管轄の労基署、雇用保険はハローワーク |
提出期限 | 変更があった日の翌日から10日以内 |
添付書類 | 法人登記簿膳本 |
この手続きは、提出期限が「変更から10日」定められているので、事業主または担当者は忘れずに手続きをしましょう。
一元適用事業と二元適用事業の違い
労働保険名称所在地等変更届の提出先は、変更のあった事業場が一元適用事業か、二元適用事業かによって異なります。
一元適用事業とは、労災保険料と雇用保険料の申告・納付を一体のものとして扱う事業のことをいい、二元適用事業はそれぞれを区別にして扱う事業のことをいいます。
一般的に二元適用事業にあたるのは、農林水産業等の一次産業と建設業で、その他の業種はすべて一元適用事業です。
自社がどちらに該当するのか、あらかじめ把握しておきましょう。
届出が必要になるのは事業所単位
労働保険名称所在地等変更届の手続きが必要になるのは、法人単位ではなく事業所単位となります。
同じ法人でも、東京の本社と大阪の支社では違う事業所となります。
そのため、支社や支店、工場などの名称や住所が変わったときも、この届出が必要になるので注意しましょう。
また、労働保険名称所在地等変更届の提出先も、本社を管轄する労基署やハローワークではなく、事業所を管轄する労基署またはハローワークになります。
提出のタイミングは変更後
労働保険名称所在地等変更届の提出期限は、変更から10日以内となっており、提出のタイミングは変更前ではなく変更後です。
事業所を移転する場合は、移転前ではなく移転後に手続きをしなければならないので注意しましょう。
また、提出先となるのも、移転前の事業所ではなく、移転後の事業所を管轄する労基署またはハローワークとなります。
事業所の変更手続きは社労士の利用が便利
社名の変更や、事業所の移転があった場合には、労働保険名称所在地等変更届の手続きが必要です。
しかし、社名変更時や事業所の移転時は、取引先への周知や引っ越しの準備など、他にやらなければならないことがたくさんあります。
そのため、つい「届出を忘れてしまった」というケースが多くあります。
しかし、この届出を忘れると、必要書類が事業所に届かないなど、トラブルにつながる可能性があります。
もし、「労働保険名称所在地等変更届がよくわからない」「忙しくて届出ができない」という方は、社労士を利用するととても便利です。
社労士とは、国家資格を持った社会保険や労働保険に関する業務の専門家のことをいいます。
社労士に依頼をすれば、必要な社会保険や労働保険の変更手続きを、事業主に代わってすべて代行してくれるので、事業主は他にやるべきことに集中することができます。
また、その他にも助成金や補助金に関する相談にも乗ってくれるので、事業主にとって強力なパートナーになってくれるでしょう。
その他に必要となる手続き
事業所の名前や所在地等を変更する場合は、労働保険名称所在地等変更届の他にも次のような手続きが必要です。
雇用保険の各種変更手続き
雇用保険の適用事業所が、事業主や事業所の名称・所在地などを変更する場合には、「雇用保険事業主事業所各種変更届」の提出が必要です。
この手続きは、変更から10日以内に行わなければならず、提出先は管轄のハローワークです。
また、添付書類の1つに、上記の「労働保険名称所在地等変更届」を提出したあとの控えが必要になります。
そのため、流れとしては労働保険名称所在地等変更届の手続きを行ったのちに、雇用保険事業主事業所各種変更届を行うことになります。
社会保険の変更手続き
社会保険(健康保険・厚生年金)適用事業所の名称や所在地に変更がある場合、事業主はその都度、「健康保険・厚生年金保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を、管轄の年金事務所または健康保険組合に提出する必要があります。
提出期限は変更から5日以内となっており、労働保険や雇用保険の場合よりも短くなっています。
また、添付書類についても、健康保険被保険者証が必要になるなど、労働保険の場合とは異なるので注意が必要です。
事業所の名称や所在地を変更する際は、さまざまな手続き・届出が必要です。
これらの手続きについて、ご質問やご相談がある場合は、ぜひSATO社会保険労務士法人までお問合せください。
専門のスタッフが、お客様の抱えるお悩み・課題の解決をサポートさせて頂きます。
まとめ
社名変更や事業所の移転時には、社会保険や労働保険の手続きが必要になります。
このとき提出する書類の1つが、労働保険名称所在地等変更届です。
この手続きは、変更から10日以内に行わなければならず、遅れると、必要書類が届かないなどのトラブルになる可能性があるので注意しましょう。
社名変更や移転時は、ほかにもたくさんやるべきことがあるため、社会保険や労働保険の手続きは忘れがちです。
労働保険の届出・手続きについて、「もっと詳しく知りたい」「社労士に相談したい」という方は、ぜひSATO社労士法人にお気軽にお問合せください。専門のスタッフが丁寧・わかりやすく対応させて頂きます。