健康保険・厚生年金の氏名変更届の手続きをわかりやすく解説
社会保険の被保険者である従業員が、結婚や離婚によって氏名が変わった場合、健康保険・厚生年金保険の氏名変更届が必要になることがあります。
マイナンバー制度の導入によって、あまり発生しなくなった手続きですが、外国人労働者や海外居住者などを採用する場合は、この手続きが必要になるかもしれません。
今回は、健康保険・厚生年金保険の氏名変更届について、その手続きの流れや提出先などをわかりやすく解説したいと思います。
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健康保険・厚生年金の氏名変更届とは?
健康保険・厚生年金保険の氏名変更届とは、被保険者の氏名が変わった場合に、会社が行う手続きのことをいいます。
被保険者の氏名が変わるケースとしては、被保険者が結婚や離婚をした場合、養子縁組をした場合等があります。
ただ、次で説明するとおり、この手続きが必要になるケースは現在ではかなり限られています。
健康保険・厚生年金の氏名変更届は原則として不要
健康保険・厚生年金の氏名変更届は、従業員である被保険者の氏名が変わった場合に必要となる手続きです。
ただし現在では、この手続きが必要になるケースはかなり限られています。
なぜなら、平成28年にマイナンバー制度が導入され、これにともない、平成30年3月からは氏名変更の届出は原則として不要とされているためです。
現在は、基本的にマイナンバーと基礎年金番号が結びついており、被保険者の氏名が変わった場合には、その情報が年金機構や協会けんぽに連携される仕組みになっているため、会社からの届出は不要になったのです。
そのため、結婚などにより被保険者の氏名が変わった場合は、会社は特に手続きをしなくても、協会けんぽから新しい氏名の健康保険証が会社宛てに送られてきます。
どういう場合に氏名変更届が必要?
マイナンバー制度の導入により、平成30年3月以降は被保険者の氏名変更届は原則として不要となりました。
ただ、次のような場合では、会社による健康保険・厚生年金保険の氏名変更届が必要です。
- マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない被保険者の氏名が変わった場合
- 在留外国人など、マイナンバーを持っていない被保険者の氏名が変わった場合
現在日本年金機構では随時、マイナンバーと基礎年金番号の紐づけ作業を行っています。
そのため、日本国内で就労している方で、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない方はほとんどいません。
ただ、長期間海外に居住していた方で、最近帰国した方や、外国人労働者の場合などは、まだマイナンバーと基礎年金番号の紐づけが完了していないケースがあります。
マイナンバーの紐づけがされているかどうかは、年金機構に問い合わせると確認することができます。
被保険者の氏名の訂正をすることも可能
マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない被保険者の氏名を間違えてしまった場合も、この手続き(様式)によって、被保険者の氏名を訂正します。
外国人労働者の場合は、在留カード等できちんと確認しないと、氏名を間違えて資格取得届に記載するケースがあるので注意が必要です。
健康保険・厚生年金保険の氏名変更届の手続き方法
健康保険・厚生年金保険の氏名変更届の具体的な手続き方法は次の通りです。
必要書類 | 健康保険・厚生年金保険被保険者氏名変更(訂正)届 |
目的 | 従業員の氏名変更届出・氏名を間違えて届出をした場合の訂正 |
提出先 | 事業所を管轄する年金事務所、または健康保険組合 |
提出期限 | 変更や訂正に気づいたら速やかに |
添付書類 | 旧氏名の健康保険被保険者証 |
提出先ですが、協会けんぽ加入の事業所の場合は、管轄の年金事務所となり、組合健保の事業所の場合は、年金事務所と健康保険組合が提出先となります。
また、添付書類について、被保険者氏名の漢字を変更(訂正)をする場合で、かつ、その被保険者に被扶養者がいる場合には、その被扶養者の被保険者証も添付をします。
これは、被扶養者の被保険者証にも、被保険者の氏名が記載されているためです。
逆に、被保険者氏名のフリガナのみの変更(訂正)の場合は、被扶養者の被保険者証は必要ありません。
被扶養者の氏名変更は別の手続きが必要
健康保険・厚生年金保険被保険者氏名変更(訂正)届は、あくまで被保険者本人の氏名を変更(訂正)するときに提出する書類です。
被扶養者の氏名変更は、この届出ではなく「健康保険被扶養者(異動)届」によって行います。
「健康保険被扶養者(異動)届」は、氏名が変わった日から5日以内に管轄の年金事務所に提出をします。
氏名変更届の場合と異なり、マイナンバーと基礎年金番号が紐づけされている場合でも、この手続きは省略できないので注意しましょう。
外国人の場合はローマ字氏名届も必要
被保険者が外国籍で、マイナンバーを持っていない又はマイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない場合は、氏名変更届とともに「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」の提出が必要です。
「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」の提出先は事業所を管轄する年金事務所であり、提出のタイミングは、氏名変更届と同時です。
「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」のみを電子申請することはできませんが、氏名変更届を電子申請する場合は、ローマ字氏名届を添付ファイルとして提出することができます。
この届出は、外国人の年金記録を適切に管理するために必要な書類なので、忘れずに提出するようにしましょう。
まとめ
マイナンバーと基礎年金番号の紐づけがされていない被保険者の氏名が変わった場合、会社は健康保険・厚生年金の氏名変更届という手続きが必要になります。
この手続きをきちんとしないと、新しい健康保険証が送られてこないなど、従業員とトラブルになる可能性があるので注意しましょう。
また、外国人被保険者の場合には、氏名変更届とともにローマ字氏名届も行う必要があります。
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