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社会保険の同日得喪とは?手続きや要件をかんたん解説

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少子高齢化が進む中、労働力の確保及び高齢者の雇用確保措置として「定年後再雇用制度」を導入する企業が増えています。

しかし、定年再雇用を実施すると、労使双方の社会保険料の負担が大きくなってしまうケースがあるため、そのような場合、社会保険料の負担を軽減する措置として「同日得喪」という手続きがとられます。

ただ、同日得喪はそれほど多く発生する手続きではないため、「手続きや内容がよくわからない」という経営者や担当者の方も多いと思います。

そこで、今回は同日得喪手続きについて、わかりやすく解説をしたいと思います。

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定年再雇用制度とは?


社会保険の同日得喪は、定年後再雇用時に行われる手続きの1つです。

そのため、同日得喪について説明する前に、まずは定年再雇用制度について簡単に解説をします。

定年後再雇用制度とは、従業員が希望する場合、定年退職後に新しく雇用契約を締結することをいいます。

少子高齢化が急速に進行する中、高齢者の雇用促進を図るため、企業には高齢者の雇用確保措置が義務付けられました。

この高齢者雇用確保措置の中で、中小企業を中心に最も導入されているのが「定年後再雇用制度」です。

まだ定年再雇用制度を導入していない企業も、今後は検討が必要になるかもしれません。

社会保険の同日得喪手続きとは?

定年再雇用後は、勤務時間や仕事内容の変更により再雇用前と比べて給料が下がるのが一般的ですが、給料が下がっても、すぐには社会保険料に反映されません。

なぜなら、社会保険料は一定の定められたタイミングで、賃金に応じて変動するためです。

そのため、定年再雇用後しばらくの間は、会社・従業員ともに、高額な社会保険料を負担しなければならないことになります。

こうした負担を軽減するため、特例として認められているのが「同日得喪手続き」です。

60歳以上で退職後1日の空白もなく継続して再雇用される人については、事業主と労働者との雇用関係がいったん中断したものとして、「資格喪失届」と「資格取得届」を提出することができます。

これにより、再雇用された月から、再雇用後の給与に応じて標準報酬額を決定することができるため、会社・従業員ともに社会保険料の負担を軽減することができるのです。

社会保険の同日得喪手続きはどんな場合にする?

定年再雇用時、社会保険に関する従業員の状況としては、主に次の3つのケースがあります。

  1. 賃金に変更がなく標準報酬の等級が変わらない
  2. 賃金が減額され標準報酬の等級が1等級以上低下した
  3. 賃金や勤務時間、勤務日数などが減少したため、社会保険の加入要件を満たさなくなった

1の場合、社会保険料の負担は何も変化がないため、手続きをする必要はありません。

3の場合は、再雇用日を喪失日として、社会保険の資格喪失手続きを行います。

2の場合、同日得喪手続きを行います。

この場合は、従業員から健康保険証をいったん回収し、資格取得届と資格喪失届を同時に提出します。

具体的な手続きは資格喪失手続きと資格取得届

同日得喪手続きは、資格取得届と資格喪失届を同時に提出して行います。

具体的には、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」「健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届」を作成し、管轄の年金事務所または健康保険組合に同時に提出します。

添付書類としては、従業員の健康保険被保険者証と、就業規則や再雇用契約書等が必要です。

健康保険被保険者証は、届出が終わると新しい健康保険被保険者証が発行されます。

就業規則や再雇用契約書については、退職日や再雇用を証明するために必要となります。

同日得喪は、従業員が退職後1日の空白もなく継続して再雇用されている場合に認められる特例です。

そのため、退職日と再雇用されたことを証明するための書類として、就業規則や再雇用契約書等が必要になるのです。

就業規則も再雇用契約書もない場合には、継続再雇用に関する証明書を自社で作成することも可能です。

その際は、退職日地および再雇用日を必ず記載するようにしましょう。


同日得喪手続きをしないとどうなる?

同日得喪手続きをしないと、定年再雇用後の賃金が下がっても、社会保険料だけ定年再雇用前の高い賃金に基づいた金額を負担しなければなりません。

月額変更届による社会保険料の改定も可能ですが、この場合は賃金が下がった後、月額変更該当月まで社会保険料が改定されません。

また、1等級しか下がらない場合には、月額変更に該当せず、次の算定基礎届まで高い保険料を負担し続けなければなりません。

同日得喪手続きをしないと、従業員だけでなく、会社も高い社会保険料を負担しなければならないという点に注意が必要です。

同日得喪のデメリット

定年再雇用により従業員の給料が下がった場合、同日得喪手続きを行うと、従業員の標準報酬月額が下がり、定年再雇用後の社会保険料の負担が軽減されます。

ただし、標準報酬月額が下がるということは、各種給付金の額も減少する可能性があるという点に注意が必要です。

例えば、傷病手当金の支給額は、支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準月額の平均÷30日×2/3です。

そのため、標準報酬月額が低下すると、受け取れる傷病手当金の額も下がってしまいます。

また、同日得喪を行うと、健康保険証の番号が変わるため、かかりつけの医療機関などがある場合は、その旨を申し出る必要があります。

同日得喪を行う際は、対象となる従業員にこれらの点をしっかり説明し、理解してもらったうえで手続きをすすめるようにしましょう。

同日得喪に関する相談や質問は社労士が便利

同日得喪は、普段あまり発生しない手続きなので、手続きの流れや申請書類の書き方、添付書類等がわからないという方も多いかと思います。

ですが、同日得喪の手続きには期限が定められているため、スムーズに届出をしないと、再就職後の賃金が社会保険料にきちんと反映されないなどのトラブルにつながる可能性があります。

もし、同日得喪についてよくわからないという方は、社労士を利用すると便利です。

社労士に相談すれば、同日得喪手続きの注意点や、手続きのポイントなどをわかりやすく解説してくれるうえに、もし忙しいという場合は、代わりに申請手続きまで対応してくれるからです。

社労士は国家資格を持った社会保険手続きの専門家なので、依頼をすれば、ミスなく期限内に手続きを完了してくれるのでおすすめです。

定年再雇用時の雇用保険手続き


定年再雇用時は、社会保険だけでなく、雇用保険についても手続きが必要になる可能性があります。

定年再雇用後に勤務時間や勤務日数などが減少し、雇用保険の加入要件をみたさなくなった場合、雇用保険の資格喪失手続きをします。

定年再雇用後も、労働条件などが特に変わらない場合は、そのまま継続されるため手続きは必要ありません。

雇用保険の加入要件を満たすものの、60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金が75%未満になった場合には、高年齢雇用継続給付が受けられる可能性があります。

これは、毎月支払われた賃金の最大15%が雇用保険から支給される制度です。


社労士(社会保険労務士)に相談できることをわかりやすく解説|SATO社会保険労務士法人

経営者や人事・労務の担当者であれば、社労士という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。 ただ、中には「そもそも社労士に何が依頼できるのかわからない」という方も多いかと思います。 そこで今回は、社労士に相談できる業務内容や、必要になる費用、相談するタイミングについて、わかりやすく解説をしたいと思います。

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まとめ

定年再雇用により、従業員の賃金が再雇用前よりも低下した場合は、社会保険の同日得喪手続きをしましょう。

これは、社会保険の資格喪失と資格取得の手続きを同時に行うことで、低下した賃金を社会保険料に反映させることができる手続きです。

この手続きをしないと、賃金が下がったにもかかわらず、会社と従業員の双方が、高額の社会保険料を負担しなければならないことになります。

同日得喪について「気になることがあるので質問したい」「社労士に相談したい」という方は、ぜひSATO社会保険労務士法人まで気軽にご相談ください。

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