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傷病手当金は退職後に申請できる?手続きや書類などを解説します

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傷病手当金は、被保険者が業務外のケガや病気による療養のため、仕事ができなくなったときに支給される給付金です。

在職時に申請・支給されるのが一般的ですが、退職間近にケガをした場合や、療養が長引いたりした場合は、申請が退職後になったり、退職後も療養が必要になるケースがあると思います。

そこで今回は、退職後に傷病手当金の申請はできるのか、また、退職後の療養期間も傷病手当金の対象になるのかどうか、申請の手続きや流れなどについて、解説したいと思います。

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傷病手当金は退職後も申請できます

傷病手当金について、「在職中に申請をしなければならない」というルールはありません。

そのため、退職後に傷病手当金の申請をしても問題ありません。

傷病手当金の申請は、被保険者や事業主だけでなく、医師の証明なども必要となるため、申請書を作成するのには手間がかかります。

在職中はケガや病気などで申請手続きが進まなかった方は、退職後に落ち着いてから申請をするとよいでしょう。

ただし、傷病手当金の時効期間は、支給対象日ごとに2年間となっています。

そのため、支給対象日から2年間が経過した後は傷病手当金の申請ができなくなってしまうので注意しましょう。

例えば、令和4年11月15日分の傷病手当金については、令和6年11月14日までに申請をしないと、時効によって消滅してしまいます。

退職後に仕事を休んだ分も申請できます

傷病手当金は、健康保険の1つの制度であるため、退職後の仕事を休んだ期間については、原則として傷病手当金の支給対象になりません。

なぜなら、退職によって健康保険被保険者の資格を喪失してしまうからです。

ただ、次の2つの要件を満たす被保険者については、例外的に、退職後の期間についても傷病手当金が支給されます。

  1. 退職日までに継続して12ヵ月以上の健康保険被保険者期間があること
  2. 健康保険の資格喪失時点で傷病手当金を受給しているか、受給資格を満たしていること

それぞれについて詳しく解説をしていきます。

退職日までに継続して12ヵ月以上の被保険者期間があること

この要件のポイントは、「12ヵ月以上の継続した被保険者期間が必要である」ということです。

そのため、途中で1日でも被保険者ではない期間があると、退職後の傷病手当金を受給することはできません。

ただ、継続してさえいれば、会社や保険者が変わっていても問題ありません。

例えば、途中で転職したため、会社や加入している健康保険組合が変わったとしても、被保険者期間が1日も空くことなく12ヵ月間継続していれば、この要件を満たすこととなります。

もし、被保険者期間があいまいな場合は、協会けんぽ等に加入期間を確認しましょう。

健康保険の資格喪失時点で傷病手当金を受給している、又は、受給資格を満たしていること

この要件について、よく問題になるのが、資格喪失日に受給資格を満たしているかどうかです。

傷病手当金の受給資格は次の3点です。

  1. 業務外のケガや病気による療養のため仕事ができない状態にあること
  2. 待期期間を含む4日以上、仕事を休んでいること
  3. 給与の支払いがないこと

上記1にある通り、仕事ができない状態にあることが傷病手当金の受給資格となるため、退職日に出社して仕事をしてしまうと、退職後に傷病手当金を受給することはできません。

また、仕事ができなくなった日から連続3日の休業(待期期間)を経過していることも必要です。

そのため、例えば休業から2日目が退職日の場合、待期期間の要件を満たしていないため、退職後の休業については傷病手当金は支給されません。

傷病手当金が支給される期間

傷病手当金が支給される期間は、支給開始日から通算して1年6ヵ月となっています。

これは、途中で退職した方の場合でも変わりません。

ポイントは、同一のケガや病気による療養の場合は、「支給期間が通算される」という点です。

傷病手当金の支給期間中に、仕事に復帰し傷病手当金の支給がなくなった期間がある場合、その期間は支給期間から除かれます。

例えば、傷病手当金を1年間受給した後に、病状が良くなったため6カ月間仕事をし、その後また病状が悪化して仕事ができなくなった場合には、残りの6か月間についてまた傷病手当金を受給することができます。

傷病手当金はいくら支給される?


傷病手当金は1日単位で支給されます。

1日あたりの傷病手当金の支給金額は次の計算で算出します。

「支給開始日以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)」

そのため、おおよそ被保険者の1日当たりの給与の3分の2が傷病手当金の支給金額となります。

もし、支給期間中に会社から給与の支払いを受けた場合は、原則として傷病手当金は支給されません。

ただし、給与の額が傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。

また、退職後に老齢退職年金の受給者になった場合には、原則として傷病手当金は支給されませんが、老齢退職年金の360分の1の額が傷病手当金よりも少ない場合には、給与の場合と同様に差額が支給されます。

傷病手当金の申請手続き

傷病手当金の申請手続きは「健康保険 傷病手当金支給申請書」を作成・提出して行います。

この書類は、協会けんぽのHP等からダウンロードすることができます。

基本的な手続き内容は次の通りです。

必要書類健康保険 傷病手当金支給申請書
目的傷病手当金を申請するため
提出先管轄する協会けんぽの都道府県支部、または健康保険組合
提出期限一般的には仕事ができるようになったあとに請求。
長期間休業する場合は通常1カ月程度に区切って請求
添付書類老齢退職年金を受けている場合は「年金給付額の分かる書類」(例えば老齢退職年金給付の年金証書のコピー等)
労災保険から休業補償給付を受けている場合は「休業補償給付支給決定通知書のコピー」
休業の原因が負傷の場合「負傷原因届」

退職後の申請は誰がする?

一般的に在職時の傷病手当金の申請手続きは会社が行いますが、退職後については、退職後の申請については被保険者本人が行います。

ただし、退職直後の申請については会社が申請をします。

退職直後の申請は、在職中の期間も支給対象に含まれるためです。

また、初回の申請については、勤務状況等に関する事業主の証明が必要となるため、会社から協会けんぽ等へ申請するのが一般的です。

退職後に申請をするタイミング

通常、在職時の申請は、1ヵ月以内に復帰できる場合は復職後に行い、1ヵ月を超える長期休業の場合は1ヵ月ごとに申請します。

これは、事業主による給与の支払いの有無などの証明が必要になるため、給与の締め日に合わせて申請するためです。

退職後の申請については、特に決まりがないため、対象者が自分である程度の期間を区切って申請をします。

1ヵ月単位で申請する方が多いようですが、申請には医師の証明が必要であり、医師の証明を発行するには手数料がかかるため、3ヵ月単位で申請する方もいます。

従業員の傷病手当金に関する相談は社労士が便利です

ケガや病気で仕事ができなくなった従業員にとって、傷病手当金は生活を支える重要な制度です。

そのため、会社の経営者や担当者は、傷病手当金の制度について、しっかりと流れや手続きを把握しておく必要があります。

そして、申請が必要になった場合は、スムーズに支給されるよう、迅速に対応しましょう。

もし、「傷病手当金についてよくわからない」「手続きに不安がある」という場合は、社労士の利用が便利です。

社労士に相談をすれば、社会保険の専門家によるコンサルティングを受けられたり、会社に代わって手続きを代行してくれるからです。


社労士(社会保険労務士)に相談できることをわかりやすく解説|SATO社会保険労務士法人

経営者や人事・労務の担当者であれば、社労士という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。 ただ、中には「そもそも社労士に何が依頼できるのかわからない」という方も多いかと思います。 そこで今回は、社労士に相談できる業務内容や、必要になる費用、相談するタイミングについて、わかりやすく解説をしたいと思います。

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まとめ

傷病手当金は在職中に申請しなければならないというルールはありません。

そのため、退職後に申請することも可能です。

また、一定の要件を満たせば、退職後の期間についても傷病手当金の支給を受けることができます。

退職後の傷病手当金の申請は、基本的に被保険者自身が手続きを行いますが、場合によっては、会社が従業員に代わって手続きをしたり、手続きについて質問されるかもしれません。

経営者や担当者の方は、退職後の傷病手当金について最低限の知識は身に着けておきましょう。

お気軽にお問い合わせください。