高年齢再就職給付金とは?支給条件や申請手続きのポイントを解説
近年、高年齢者の採用に力を入れる企業が増えています。
少子高齢化が急速に進む中、シニアならではの経験や技術に多くの企業が注目しているのです。
ただ、高年齢者を採用する場合、自社での勤続年数や就業時間の違い等から、従前と同程度の賃金を出せる企業は少なく、再就職後の賃金は低下するのが一般的です。
こうしたケースで活用できるのが「高年齢再就職給付金」です。
今回は、高年齢再就職給付金の内容や、支給条件、申請手続きの流れなどについて解説をしたいと思います。
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高年齢再就職給付金とは?高年齢雇用継続給付の1つ
高年齢再就職給付金とは、60歳で定年退職したあとに、失業給付の基本手当を受給し、その後再就職した場合に支給される給付金です。
高年齢再就職給付金は、「高年齢雇用継続給付」という制度の1つです。
高年齢雇用継続給付には、今回説明をする「高年齢再就職給付金」と、「高年齢雇用継続基本給付金」の2つのタイプがあり、いずれも高年齢者の雇用の確保・促進が目的となっています。
高年齢再就職給付金は、再就職後の賃金が、基本手当の基準となった賃金日額×30の75%未満になった場合に支給されます。
たとえば、賃金日額が1万円だった労働者の場合、再就職先の賃金が22万5千円未満となった場合に支給されます。
高年齢再就職給付金の支給額は、賃金の低下率(60歳到達時と比較してどの程度下がったか)によって異なり、最大で支給月の15%です。
高年齢再就職給付金の受給資格は3つ
高年齢再就職給付金は、60歳以降に再就職したすべての労働者に支給されるわけではありません。
主な受給資格は次の通りです。
- 基本手当(失業保険)の算定基礎期間が5年以上であること
- 再就職した日の前日時点で基本手当の支給残日数が100日以上であること
- 再就職先が1年を超えて継続雇用されることが見込まれる安定した職業であること
算定基礎期間とは、雇用保険の基本給付の額を算出する際に用いられるもので、ざっくりいうと雇用保険の一般被保険者であった期間となります。
なお、同一の再就職先について、再就職手当をもらっている場合、高年齢再就職給付金は支給されません。
支給期間
高年齢再就職給付金の支給期間は、失業給付の基本手当の支給残日数によって異なります。
支給残日数が200日以上の場合、再就職をした日の翌日から2年経過する月までです。
支給残日数が100日以上200日未満の場合は、再就職をした日の翌日から起算して1年を経過する月までです。
支給残日数が100日未満の場合は高年齢再就職給付金は支給されません。
もっとも、支給期間中に労働者が65歳に達した場合は、支給対象期間にかかわらず65歳に達した日の属する月までとなります。
高年齢再就職給付金の申請手続き
高年齢再就職給付金の申請手続きは次の流れで行うのが一般的です。
- 受給資格確認票(初回)支給申請書を作成して管轄のハローワークに提出する
- 受給資格確認通知書・支給申請書がハローワークから交付されるので従業員に渡し、支給申請書の必要箇所に記入してもらう
- 支給申請書を管轄のハローワークに提出する
- ハローワークから支給決定通知書と次回の支給申請書が交付されるので従業員に渡す
- 従業員の口座に給付金が振り込まれる
提出期限や添付書類
具体的な申請の手続きの内容は次の通りです。
必要書類 | 高年齢雇用継続給付支給申請書(様式第33号の3の2) |
目的 | 高年齢雇用継続給付金の申請 |
提出先 | 事業所を管轄するハローワーク |
提出期限 | 初回申請の場合は最初の支給対象月の初日から4か月以内 2回目以降はハローワークから指定された月 |
添付書類 |
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再就職手当との併給はできないので注意
高年齢再就職給付金と再就職手当は同一の就職について、併給することはできないため、被保険者がどちらを受給するか選択しなければなりません。
再就職手当の申請期限は、再就職から1ヵ月以内となっているため、どちらを選択するかについては、再就職から1ヵ月以内に行う必要があります。
いったん選択をした場合、あとから変更することはできません。
例えば、再就職手当を選択し、その後不支給となった場合でも、高年齢再就職給付金に変更することは認められません。
そのため担当者としては、具体的な受給資格や支給額などをしっかり労働者に説明し、慎重に判断してもらうようにしましょう。
まとめ
高年齢再就職給付金とは、失業給付の基本手当を受給していた労働者が、60歳以後に再就職した場合に支給される給付金です。
再就職後の賃金が、基本手当の賃金日額×30の75%未満になった場合に、最大で支給月の賃金の15%が支給されます。
支給期間は、基本手当の支給残日数によって異なります。
また、申請の手続きには期限が定められており、期限を過ぎてしまうと申請が出来なくなる可能性があります。
担当者としては、流れをしっかりと把握したうえで、労働者がスムーズに受給できるよう進めていきましょう。
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