高年齢者雇用状況報告書の対象企業や提出先などわかりやすく解説します
毎年、5月下旬~6月上旬にかけて、ハローワークから対象の企業に対して、高齢者に対する雇用制度の導入状況を確認するための書類が届きます。
この書類を「高年齢者雇用状況報告書」といいます。
中には、今年になって突然届いて驚いたという経営者や担当者の方もいるかもしれません。
そこで今回は、高年齢者雇用状況報告書の対象となる企業や、提出先、書き方の注意点などについてわかりやすく解説したいと思います。
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高年齢者雇用状況等報告書とは?
近年、少子高齢化による労働力不足が進む中、各事業者に対しては、高年齢者雇用安定法という法律により、65歳までの雇用確保措置、及び70歳までの就業確保措置を講ずることが求められています。
これらの措置を事業者が講じているかどうかをハローワークが把握するために、必要となるのが、「高年齢者雇用状況報告書」です。
「高年齢者雇用状況報告書」は、毎年5月下旬から6月上旬にかけて、ハローワークから送られてきます。
この書類が届いたら、事業主は毎年6月1日現在における、定年および継続雇用制度の状況など、高年齢者の雇用に関する状況を、厚生労働大臣に報告しなければなりません。
高年齢雇用状況報告書の対象は従業員が31人以上の企業
高年齢者雇用状況報告書の作成・提出は、すべての企業が対象というわけではありません。
高年齢者雇用状況報告書の対象となるのは、常時雇用する従業員が31人以上の企業です。
常時雇用する従業員とは、原則として、その事業場で働くすべての労働者のことをいい、正社員だけでなく、パート従業員やアルバイトであっても、1年以上の継続雇用が見込まれる場合は含まれます。
雇用保険や社会保険に加入しているかどうか等は関係がありません。
ただし、派遣社員については、派遣元の労働者となるため、派遣先で「常時雇用する従業員」には含まれないので注意しましょう。
また、取締役など会社の役員についても、雇用する側の立場であるため、原則としてここには含まれません。
ただ、役員であっても、他の労働者と同じように業務をしている場合は、「常時雇用する従業員」に含まれる可能性があります。
高年齢者の雇用に関する事業者の義務
高年齢者雇用安定法では、各事業者に対して、「65歳までの雇用確保措置」と「70歳までの就業機会確保措置」という2つの義務が課せられています。
65歳までの雇用確保措置として、各事業者は次のいずれかの措置を講じなければなりません。
- 65歳までの定年の引き上げ
- 定年制の廃止
- 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
企業がこれらの措置を講じなかった場合、ハローワークからの行政指導や是正勧告、場合によっては企業名の公表などのペナルティを受ける可能性があります。
70歳までの就業機会確保措置とは、具体的に次のいずれかの措置のことをいいます。
- 70歳までの定年の引き上げ
- 定年制の廃止
- 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
- 70歳まで継続的に事業主が実施する社会貢献事業等に従事できる制度の導入
70歳までの就業機会確保措置は、努力義務とされており、実施しなかったからといって特別なペナルティ等はありません。
高年齢者雇用状況報告書の手続きと書き方の注意点
高年齢者雇用状況報告書の提出先等は次の通りです。
必要書類 | 高年齢者雇用状況報告書(様式第2号) |
目的 | 各企業における高年齢者の雇用措置の状況確認 |
提出先 | 事業所を管轄するハローワーク |
提出期限 | 毎年7月15日 |
添付書類 | 特にありません |
常用労働者とは
高年齢者雇用状況報告書には、各年齢ごとの常用労働者を記載しなければなりません。
常用労働者とは、正社員やパート、アルバイトなど名称を問わず、原則として、1年以上継続して雇用される労働者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者のことをいいます。
また、1年未満の期間を定めて雇用される労働者であっても、雇用契約が反復更新され、事実上雇用期間の定めのない労働者と同一と認められる場合も含まれます。
創業支援等措置とは
高年齢者雇用状況報告書には、各事業所における創業支援等措置の実施状況を記載しなければなりません。
創業支援等措置とは、上述した、「70歳までの就業機会確保措置」の中の一部のことをいいます。
創業支援等措置は、努力義務とされているため、実施していない場合でもペナルティなどはありませんが、実施状況については記載しなければなりません。
制度の導入予定などについては、正直に記載するようにしましょう。
まとめ
高年齢者雇用状況報告書とは、ハローワークが高齢者の雇用措置等の実施状況を確認するための報告書です。
対象となる事業者は、従業員が31人以上の企業で、この書類が届いた場合は6月1日時点での高年齢者の雇用状況等を報告しなければなりません。
提出期限は7月15日となっているので、報告書が届いたら速やかに提出をしましょう。
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