社会保険労務士への相談費用やスポット依頼・顧問契約の相場はいくら?
新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークを導入する企業が増えたり、変形労働時間制を実施したりと、様々な形で働き方改革が進んでいます。
そんな中、多様化する雇用形態への対応や社内工数削減のためのアウトソーシングなど、社会保険労務士に相談するシーンは増加しています。
しかし、いざ相談をしようとした際、相談費用の相場がわからず不安になったり、社会保険労務士がどこまで何をしてくれる士業なのかわからなかったりする方も多いと思います。
そこで今回は、社会保険労務士への相談費用やスポット依頼・顧問契約の相場について、わかりやすく解説していきます。
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そもそも社会保険労務士とは
社会保険労務士とは、1年に1回実施される“社会保険労務士試験”に合格し、かつ、一定の実務経験を経た国家資格者です。
会社が成長するには「ヒト、モノ、カネ、情報」の4つの経営資源が必要とされており、社会保険労務士は、その中でもヒト=人材に関する専門家です。
従業員の採用から退職までに必要な労働保険・社会保険に関する法律に精通しており、労務管理の相談指導も行うなど業務内容は広範囲にわたります。
人事・労務の業務では、専門の知識が必要になる場面が頻繁に発生するため、経営者や人事担当者が全て行うのは大きな負担となってしまいます。
そういった場合に業務の代行を請け負い、正確かつ迅速にに処理を行うことが可能なのが社会保険労務士なのです。
社会保険労務士の仕事
社会保険労務士の仕事は、1号業務・2号業務・3号業務という3種類の業務があります。
そのうちの1号業務と2号業務は、社会保険労務士の「独占業務」となっており、社会保険労務士のみが業務を行うことができます。
それでは、各業務について詳しく解説していきます。
1号業務(申請業務と手続き代理)
1号業務とは、健康保険や雇用保険、厚生年金など、労働・社会保険に関する法律に基づいた申請書類を作成し、行政機関への提出を代行する業務です。
具体的には、雇用保険や社会保険の新規加入・脱退の手続き、労働保険の年度更新の手続き、各種助成金申請手続きなどの手続きを、依頼主(事業主・人事担当者など)に代わって行うことができます。
依頼主が社内でこのような業務を行う場合、書類の作成に時間を費やす上に、繁忙期と重なった際には大変な負担となります。
しかし、社会保険労務士が依頼主に代わって手続きを行うことで、手続きミスや法律違反を防ぐことができ、会社は業務の効率化を図ることもできるようになるのです。
2号業務(労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成)
2号業務とは、労働・社会保険に関する法律に基づいた帳簿を作成する業務です。
帳簿書類には、就業規則や労働者名簿、賃金台帳や出勤簿などがあり、企業は法に基づいてこれらの帳簿を作成しなければなりません。
そしてこれらの帳簿の作成を代行することができるのは、社会保険労務士のみとなります。
適切な労務管理を行うためにもこれらの帳簿は必要であり、企業の基本ともなるべき書類です。
特に就業規則は、最新の法令に則って随時変更する必要もあります。
各種帳簿の変更も、社会保険労務士でなければ請け負うことはできません。
3号業務(労務管理や社会保険に関する相談・指導)
3号業務とは、労務管理や労働・社会保険に関する法律に基づく社会保険事項の相談と指導業務です。
わかりやすくいえば、人事労務管理のコンサルティング業務です。
働き方が多様化している近年では、労使間の問題も多様化・複雑化しています。
3号業務は、1号業務や2号業務と違い社会保険労務士の独占業務ではないものの、法律(社会保険労務士法)で認められている、唯一の労務管理の専門コンサルタントです。
専門的立場の社会保険労務士は、良好な労使関係を維持するための適切なコンサルティングを行うことができます。
特定社労士について
特定社会保険労務士とは、労使間において個別労働紛争が発生した際、裁判外紛争解決手続の代理業務が認められた社会保険労務士のことです。
社会保険労務士の中でも、紛争解決手続代理業務試験に合格するなど、特別な手続きが必要です。
裁判外紛争解決手続(ADR;Alternative Dispute Resolution)とは、訴訟手続によらずに、当事者双方の合意によって争いを解決させるための方法です。
特定社会保険労務士は、トラブルの当事者の代理人として、「あっせん」「調停」「仲裁」などの手続きによって、訴訟よりも迅速に紛争を解決します。
社会保険労務士への相談費用について
社会保険労務士への相談を検討した際、単発的な手続き業務や書類作成などを依頼する『スポット依頼』か、毎月一定額の顧問報酬を定めて、幅広くサポートを受ける『顧問契約』か、どちらが自社にとって最適なのか悩まれるかと思います。
スポット依頼・顧問契約のどちらにしても、社会保険労務士へ相談する際の費用は、自社(依頼主企業)の従業員数や事業所数、依頼する業務範囲などにより変動します。
また、社労士事務所の規模や社会保険労務士自身のスキルによっても変動する場合があります。
社会保険労務士への相談を検討した際にはまず、社内の課題を明確化させ、具体的な依頼内容は決めておきましょう。
そして、依頼を検討している社会保険労務士事務所の対応可能業務や料金設定は、事前に確認しましょう。
スポット依頼した場合の費用相場
社会保険労務士と顧問契約を結んでいない場合、“労働・社会保険の手続き代行のみ”“労務コンサルティングのみ”など、特定の業務のみをスポット依頼することとなります。
いきなり顧問契約を結ぶことに不安がある場合や、一回限り依頼したい場合などに利用することが多いでしょう。
スポット業務の例 | 費用相場の例 | 備考 |
---|---|---|
労働・社会保険の手続き代行 | 従業員5名以下/5~8万円 | |
就業規則の作成 | ~20万円 | |
就業規則の見直し | ~5万円 | |
賃金規定や退職金規定など各規定の作成 | ~10万円 | |
36協定の作成 | ~3万円 | |
助成金の申請 | 助成額の15%~20% | 事務所によって着手金が有 |
労務管理に関するコンサルティング | 相談のみ 1時間/~1万円 | (運用指導等)コンサルティング内容により大きく変動 |
ADR(紛争解決代理業務) | 着手金:~5万円 成功報酬:解決金額の10%~20% | |
給与計算 | ~50名/6万円~ | 従業員数によって変動 |
※上記はあくまで一例であり、事務所により異なる場合があります。
上記の表のとおり、1号業務・2号業務・3号業務のほかにも、企業の給与計算業務も社会保険労務士が取り扱うことのできる業務の一つです。
給与計算は、保険料の天引きや残業代、税金の計算など専門知識を要する作業が多く、担当する従業員には負荷の大きい業務です。
業務リソースを確保したい場合や、正確性を確保したい場合は、専門家である社会保険労務士に依頼することをお勧めします。
顧問契約を結んだ場合の費用相場
労働保険・社会保険に関する手続きは、従業員の入退社時のみではなく、産育休時などにも手続きが必要です。
発生都度スポット依頼を行うよりも顧問契約を結んだ方が、費用がかからないことが多いです。
また、人事労務に精通している社会保険労務士に労働保険・社会保険業務を任せることで、依頼主(事業主・人事担当者など)はコア業務に専念することができ、手続きを担当する従業員を多く雇用するよりもコスト削減を図ることができます。
それでは、社会保険労務士と顧問契約を結んだ場合の費用相場についてみてみましょう。
社会保険労務士と顧問契約を結んだ場合の費用は、一般的にはクライアントの従業員数に応じた月額料金となっています。
社員数 | 顧問契約の費用相場 |
---|---|
4人以下 | 2万円~ |
5~9人 | 3万円~ |
10~19人 | 4万円~ |
20~29人 | 5万円~ |
30~49人 | 6万円~ |
※上記はあくまで一例であり、事務所により異なる場合があります。
また、顧問契約の費用は、依頼する業務範囲によっても変動します。
上記表の業務範囲は、社会・労働保険の手続き代行、労務相談・指導業務と標準的な内容のものです。
このほかにも各事務所によって、対応する業務範囲やオプションは異なり、複数タイプの顧問契約プランがある事務所もあります。
業務範囲外のオプションを追加する場合には、顧問契約ディスカウントがある事務所なども存在しますので、複数の事務所について、事前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ
今回の記事で、社会保険労務士に相談できる内容やスポット依頼費用・顧問契約の費用相場が理解できましたでしょうか。
社会保険労務士に業務を依頼すれば、自社の人事労務関係の業務は大幅に効率化されます。
自社で人事労務関係の業務を処理する人員を確保するよりも、費用を抑えることができると思います。
しかし、「効率化」や「安価」のみを目的として社会保険労務士を選んでしまうと、業務依頼してから後悔することも少なくありません。
社会保険労務士に相談する前に、『社内の課題を明確化させる』『具体的な依頼内容は決めておく』『(依頼を検討している)社会保険労務士(事務所)についての長所短所を知っておく』この3点は、ぜひ取り入れていただき、相性の良い長期的に付き合える社会保険労務士を出会えるようにしましょう。
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