社労士の顧問料の相場はいくらぐらい?どんな内容を依頼できる?
社労士とは、社会保険労務士の略称で、企業における労働や社会保険に関する法律と、人事・労務管理に対する専門家です。
社労士は、社会保険労務士法に基づいた国家資格の取得者であり、社会保険や労働保険に関する申請書類の作成代行、労務管理の相談指導などを主な業務としています。
働き方改革が進む近年、多様化する雇用形態やテレワークへの対応などで、社労士に相談したい場面も少なくないことでしょう。
社会・労働保険の手続き代行や労務管理のコンサルティングなどを社労士に依頼したいが、“顧問契約を結んだ場合、費用相場がいくらなのか”“どんな内容を依頼できるのだろう”と悩まれる方も多いと思います。
そこで今回は、社労士の顧問料の相場と依頼できる内容について、わかりやすく解説していきます。
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社労士の顧問料の相場
社労士の顧問料について、以前は社会保険労務士会の報酬規程によって、一律に顧問料が定められていました。
しかし、現在は各社労士事務所が自由に顧問料を設定できるため、事務所によって費用感は全く異なります。
その中で、安さを謳い文句とする社労士事務所もありますが、具体的な依頼内容を社内で決めて、複数の社労士事務所から見積もりを取り、業務内容・サポート内容を精査の上で発注することをお勧めします。
また、後述する顧問料の相場は、あくまでも目安としていただき、実際に依頼する際には複数の社労士事務所の見積金額・提案内容を精査するようにしましょう。
顧問料が変動する理由
社労士事務所ごとで顧問料は異なりますが、次の要因で金額が変動することが一般的です。
クライアントの従業員数や事業所数
クライアントの従業員数や事業所数が多ければ、対応に工数が必要となるため、費用が増加します。
社会保険労務士会の報酬規程は現在廃止されていますが、今でもその規定を基に顧問料を定めている事務所もあり、以下がその相場となります。
社員数 | 顧問料の相場 |
4人以下 | 2万円~ |
5~9人 | 3万円~ |
10~19人 | 4万円~ |
20~29人 | 5万円~ |
30~49人 | 6万円~ |
上記顧問料に含まれる業務範囲は、社会・労働保険の手続き代行、労務相談・指導業務とスタンダードなものです。
あくまで相場であり、各事務所によって対応する業務範囲やオプションも異なります。
また、業種によって顧問料が高くなる場合もあるため、各社労士事務所への確認はきちんと行いましょう。
依頼する業務範囲
顧問料は、依頼する業務範囲によっても変動します。
例えば、“社会・労働保険の手続き代行のみ”“労務相談のみ”など、依頼する業務範囲を限定することで月額の顧問料を低く抑え、就業規則の変更や助成金の申請代理業務はスポット業務として依頼することが可能です。
スポット業務 例 | 費用相場 | 備考 |
就業規則の作成 | ~20万円 | |
就業規則の見直し | ~5万円 | |
賃金規程や退職金規定など各規定の作成 | ~10万円 | |
36協定の作成 | ~3万円 | |
助成金の申請 | 助成額の15~25% | 事務所によって着手金が有 |
労務管理に関するコンサルティング | 相談のみ~1万円 (1時間) | (運用指導など)コンサルティング内容により大きく変動 |
ADR(紛争解決代理業務) | 着手金~5万円、 成功報酬 解決金額の10~20% | |
給与計算 | ~50名/6万円~ | 従業員数によって変動 |
社労士が提供するサービス内容
社労士事務所の規模や社労士自身のスキルによって、顧問料が変動する場合もあります。
例えば、社会・労働保険の手続き依頼をした際、従業員との個別電話対応をサービスに含んでいるのか、労務相談がメールのみ対応可能など、サービス内容は社労士次第です。
最近では、給与計算システムやクラウド、ワークフローシステムを使用している会社が増えており、会社の使用しているシステムと社労士事務所の連携を求めるクライアントが少なくありません。
それらのシステムに対応している社労士事務所か否かで、費用は変動する場合があります。
自社の求める内容に、社労士事務所が対応できるかなどサービス内容の確認が必要です。
また、クライアントの従業員数や事業所数に応じて、割引を行っている社労士事務所もあるため、複数の社労士事務所の話を聞き、見積を作成してもらうようにしましょう。
顧問契約とスポット契約について
社労士に業務を依頼しようとした場合の相場を確認の上、『顧問契約』か『スポット契約』どちらが自社にとってあっているのか判断が難しい場合もあると思います。
『顧問契約』を結んだ場合、毎月の顧問料=固定費は発生することとなりますが、社会保険・労働保険の各種手続きから人事・労務に関するアドバイスまで、幅広くサポートを受けることができます。
社労士は人事労務の専門家のため、人事労務の業務を丸投げすることができ、依頼した企業の担当者は本業に専念することができます。
社労士が正確に対応・処理してくれるので、従業員からの信頼も得ることができます。
『スポット契約』を結んだ場合は、業務を依頼するごとに費用が発生しますので、固定費はかかりません。
自社のニーズに応じて業務を依頼することができますが、費用が高くなる場合があります。
また、社労士との関係性が薄くなってしまうため、自社の課題を把握できないなどのデメリットも生じます。
その反面、社労士との相性が合わなければ切り替えやすいというメリットがあります。
また、固定費は発生しないため、費用コントロールが効く点はメリットです。
『顧問契約』にも『スポット契約』にもメリットとデメリットはありますので、様々な社労士事務所の話を聞いて、自社にはどちらが合うのか判断するようにしましょう。
また、顧問契約している社労士事務所に、サービス範囲外のスポット業務を依頼する場合には、割引がある場合もありますので確認してみましょう。
顧問社労士に依頼できる内容
人事労務の専門家である社労士に、会社はどのような内容を相談することができるのでしょうか。
社労士に相談できることは、主に次の6つについてです。具体的な業務内容については、下記をご確認ください。
社会保険・労働保険の手続き代行
従業員を雇った際に発生する雇用保険・社会保険の資格取得手続きの申請業務や、労働保険年度更新など、経営者や人事労務担当者が手続きを行うには手間のかかる業務が、社会保険・労働保険の手続き業務です。
そんな手間のかかる、社会保険・労働保険に関する書類の作成と行政機関への届出業務を、社労士は会社に代わって行うことができます。
就業規則・各種規定などの作成・変更・届出
『法定三帳簿』(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)の作成業務は、社労士のみが代行することができる独占業務であると法で定められています。
また、会社が適切に労務管理を行うためには、法定三帳簿以外にも様々な規定が必要となります。
これらの規定を作成し、従業員とのトラブルを未然に防ぐためには、最新の法改正に対応している規定を作成しておく必要があります。
最新の法改正に対応した規定を作成するためには、専門家である社労士の見解が必要となるのです。
労務管理に関するコンサルティング
労務管理とは、従業員の労働条件や労働環境整備を管理することです。
従業員が納得して能力を発揮できるような賃金制度のアドバイスや、労働時間に関する提案など、良好な労使関係を維持するためのコンサルティングを行います。
助成金や補助金の申請・アドバイス
助成金や補助金は原則返済不要のため、会社としては上手に活用したい資金調達方法の一つです。
ただし、助成金や補助金は申請すれば誰でも利用できるものではなく、受給要件が設定されていて、申請書類の作成にも相当な時間を要するものです。
社労士に相談することで、自社に合った最適な助成金や補助金についてアドバイスをしてくれるだけでなく、そのまま申請代行まで行ってくれます。
労働問題に関する裁判外紛争解決手続の代理業務
裁判外紛争解決手続(ADR;Alternative Dispute Resolution)とは、裁判によらずに、当事者双方の話し合いに基づき争いを解決させるための方法です。
会社と従業員との間で、労働時間や賃金に関するトラブル、解雇や雇止め、ハラスメントなどのトラブル(個別労働紛争)が発生した際、解決方法として思い浮かぶのが裁判です。
しかし裁判には、お金も時間もかかってしまい、会社も従業員も避けたいのが本音だと思います。
そのような際に利用されるのが、裁判外紛争解決手続です。
裁判外紛争解決手続の代理業務は、社労士の中でも、さらに別の国家資格を取得した「特定社労士」のみが行うことができます。
特定社労士は、会社または従業員のどちらか一方からの相談を受け、当事者の代理人として“あっせん”“調停”“仲裁”などの手続きによって、紛争の解決を図ります。
弁護士に裁判を依頼するより、短時間で解決でき、費用も安く済むのが特徴です。
裁判外紛争解決手続の代理業務の依頼を検討されている場合は、その社労士事務所に特定社労士が在籍しているか、事前に確認するようにしましょう。
給与計算業務
給与計算は専門知識が必要なうえ、少しのミスが大きな失敗につながってしまい、担当する従業員には負荷がかかってしまう業務の一つです。
従業員が増えれば増えるほど煩雑になるため、社内工数の削減や正確性を確保するために、税理士や社労士に給与計算業務の代行を依頼している会社も少なくありません。
社労士は、人事労務の専門家のため、労働・社会保険料の計算はもちろん、社会保険の定時決定や随時改定、賞与支払届、労働保険料の申告や納付などの社会保険・労働保険に関する付随業務も処理することができます。
また、正しく残業手当を計算するためには、労働法に精通し、就業規則や労使協定を判読する力を持っている社労士がピッタリなのです。
まとめ
社労士事務所によっては、得意不得意の分野があります。
助成金の代理申請が得意な社労士事務所もあれば、その反対の事務所もあります。
社労士事務所を探す際には、事務所ごとの特色を確認してみましょう。
また、社労士事務所を選ぶ上では、相性も大切な理由の一つです。まずは相談をしてみて、自社に合った社労士を見つけましょう。
顧問社労士を上手に活用することで、社内工数を削減し、会社のリソースを売上や利益に直結するコア業務に集中させることが可能となります。
社労士に依頼をして、人事・労務関係の業務を効率化してみるのはいかがでしょうか。
社労士をお探しの際は、是非SATO社会保険労務士法人にご相談ください。
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